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音楽

2017年11月22日 (水)

吹奏楽コンクールの映像からつれづれ

先日YouTubeで全日本吹奏楽コンクールのBlu-rayダイジェストを見ていたところ,興味を引かれた曲がありました。
オリヴァー・ヴェースピ作曲「アウディヴィ・メディア・ノクテ」という曲です。

九州代表の精華女子高校の自由曲でした。

調べてみたところ,この曲も元々は英国式金管バンド編成のための曲でした。

2011年のヨーロピアン・ブラスバンド・チャンピオンシップの選手権部門の指定課題曲として作曲されたそうです。

まず,この曲が課題曲って恐ろしいですねぇ。

すさまじくテクニカルであると同時に室内楽的な響きが要求される部分もあり,なにより約20分弱とこの手の曲としては非常に長い。

上記の録音とYouTubeの動画は,翌2012年に自由曲に選んだ,オランダのブラスバンド・スホーンホーヴェンの演奏です。曲の終わりにすさまじいスタンディング・オベーションが巻き起こっていますが,このときの得点は100点満点中99点というとんでもない点数で,完全にダークホースだったようです。

精華女子高校はこの曲の吹奏楽版を選んだようですが,部分的なものを見ただけで口が開いてしまうほどすごい演奏でした。

近年,特に全日本吹奏楽コンクールの高校の部は技術力という点ではほとんどの学校にレベルの違いは感じ取れないほどになっています。

その中でこういったヴィルトオーゾ的な要素を見せつける曲をやるのは,意外に怖いところもあるのではないでしょうか。音楽が浅いと感じられてしまうと,こういった曲の面白さもスポイルされて感じられてしまうかもしれません。

もっとも審査員は複数の人がかなり細かいところまで意識しながら聴いていますか,アマチュアの耳からするとわかりにくいところもしっかり評価してくれます。

一方で,少し古めかしいレパートリーである,「だったん人の踊り」や「スペイン奇想曲」などがコンクールのレパートリーとして復活しつつある傾向も見て取れます。

私はテクニカルでリズミカルな曲が好きな傾向がありますが,さすがにそればかりだと耳が疲れますからねぇ。

吹奏楽コンクールが音量大会になってしまわないためにも,クラシックのオーソドックスな曲のアレンジも大事かなと最近は思います。

吹奏楽コンクールの演奏はそこまで好みではありませんが,この突き詰めた感じはありだと思います。ただ続けて聴くのは大変ですよねぇ。審査員は本当に大変です。

地元では,人数が必要でお金もかかる吹奏楽部はだんだん厳しい立場になっていますが,頑張ってほしいものです。

それではごきげんよう。

2017年11月20日 (月)

シューマンの交響曲

さて,つい先日発表されたばかりのマイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団の録音を聴いてみました。

実は,ちゃんとシューマンを聴くのは初めてのような気がします。

ロベルト・シューマンは,評価が高いのはピアノ曲と歌曲でそのジャンルは私がなかなか手を出さないでいる分野です。結果としてなかなか触れる機会のない作曲家の一人です。

交響曲も人によっては,オーケストレーションに問題ありとする人もいるようで,必ずしも高評価というわけではないようですね。

そのあたり,実はどんなものかよくわからないけど,好きな指揮者とオケなのでどんな感じかなと聴いてみたのですが,すごく聴きやすいなという印象です。

これは,このコンビの演奏だからなのか,それともシューマンの作風がそうなのか,まだ確定はできません。

シューマン自身は自殺を何度か試みるなど,精神的に厳しい環境にあった人のようですが,作品の中にそれを感じさせる要素はあまり感じませんね。少なくとも交響曲は,病んだ雰囲気は全く感じません。

もしかしたらピアノ曲や歌曲には,そういった要素が見え隠れするところもあるのでしょうか。

ロマン派の中でも,古典寄りに軸足を置いたスタイルですね。ある意味メンデルスゾーンと近いスタンスだったのではないでしょうか。

私はメンデルスゾーンの作品に非常に惹かれるのですが,シューマンの作品は同じようなスタンスにもかかわらず,メンデルスゾーンの作品ほどのめり込む要素は今のところ感じません。

私にとって,良いなと思うけどハマるほどではないという印象は,シューマンが見いだしたブラームスの作品に対する私のイメージとよく似ています。もう少しじっくり回数を重ねて聴くと印象も変わるかもしれませんね。

または,ミヒャエル・ギーレンのブラームス作品集のように,自分の印象をガラリと変える演奏があるのかもしれません。

いずれにしてもまた少し新しい世界へと少しだけ踏み出しました。この世界が私にとってどんな影響を与えるのか。楽しみでもありますね。さぁ,どうなるでしょう。

それではごきげんよう。

2017年11月18日 (土)

ラフマニノフの「交響的舞曲」

最近追加したアルバムの一つにジョン・エリオット・ガーディナー指揮北ドイツ放送交響楽団のものがあります。

セルゲイ・ラフマニノフ作曲「交響的舞曲」とレオシュ・ヤナーチェク作曲「狂詩曲『タラス・ブーリバ』」のカップリングです。

ラフマニノフの「交響的舞曲」は,面白さがまだよくわからないラフマニノフの作品のなかで結構気に入っています。

ガーディナーの解釈はテンポなどはかなり落ち着いているのですが,それでもシャープさを感じる切れのある演奏ですね。

ラフマニノフといえば,生存時はピアニストとしての知名度が高く,「ピアノ協奏曲第2番」や「パガニーニの主題による狂詩曲」など,ピアノをメインに据えた管弦楽曲が特に有名です。

しかし,私は吹奏楽を通して「交響的舞曲」を最初に知ったためでしょうか,そちらのイメージが強いですね。

基本的に,20世紀前半の作曲家としては,ロマン派としてのスタイルを崩さない作品ばかりですね。そのためか生前は保守的すぎると非難されたこともあったようですが,前衛への傾倒と,その揺り戻しのような過剰なロマンティック・スタイルへの指向が通り過ぎた現在,ある意味安定した評価を得た作曲家の一人ではないでしょうか。

「交響的舞曲」は,ラフマニノフの最後の管弦楽作品です。サクソフォンが使われているのが大きな特徴の一つですね。第1楽章に非常に長いソロが与えられています。

また,第3楽章のグレゴリオ聖歌「怒りの日」のかなりしつこい引用が耳に残りますね。

第一楽章が基本4拍子,第2楽章はワルツなので3拍子,第3楽章はスケルツォ的な性格が強いからでしょうか,8分の6拍子や8分の9拍子がメインだったと思います。楽譜を見ていないので正確なところがわかりませんが。非常にリズミックな部分が多く,緩徐部分よりも快速な部分を好む私にはより楽しく感じます。

各楽章が有機的につながっている部分も感じますので,ある意味三楽章形式の交響曲のような扱いもできそうです。また,各楽章もだいたい3部形式のようですね。

クラシックでは時々あることですが自作からの引用も含まれているそうです。その中の一つ「交響曲第1番」ですが,初演が大きな失敗をしてしまったそうで,しばらく作曲ができないくらいダメージを受けたそうです。そんな作品の引用が入っているのは,どんな気持ちだったのでしょうね。

さて,この曲は他に二つの録音が,ライブラリにあります。

一時期好んで聴いていたのはこちらの演奏です。

アシュケナージのお国ものの録音ということと,オーケストラの技術力でかなり良い演奏ではないでしょうか。

ただ,この後のもう一つの録音を聴いた後だと,意外と勢いが強すぎて詰めが甘い部分もありますね。テンポは全体的に速めです。第3楽章のクライマックスで指揮者のうなり声が入っているのが面白いですね。

こちらは大好きな指揮者シャルル・デュトワと初演団体でもあるフィラデルフィア管弦楽団の演奏です。

最初はテンポが落ち着きすぎていて,遅く感じてしまったのですが,聞き込むと奥底にある力強い推進力が感じられて気持ちよいです。一番上のガーディナーのものに比べると重厚感はこちらの方が上かもしれません。

ドイツのオーケストラがキレキレで,アメリカのオーケストラが重厚な演奏というのは日本人のイメージからは逆に感じる部分もあるかもしれませんね。

また,ちょっと探して追加してみようかなと思える曲の一つです。第1楽章の冒頭から前半部分や第3楽章のコーダのラッシュは,クラシック初心者でも楽しいのではないでしょうか。いかがでしょう。

それではごきげんよう。

2017年11月13日 (月)

薬漬けの一日にドビュッシーで安らぎを

今日は一日お休みでしたが,喉の痛みがひどく,ずっと薬漬けの一日でした。

かなりきつかったです。

そんな中,久々にドビュッシーのプレイリストを流しておいたのですが,やっぱり私はこの作曲家の作品が好きなんですねぇ。

オーケストラ関係はほとんどこのアルバムでカバーできると思います。

ピアノ曲集に関してはパスカル・ロジェのものとゾルタン・コチシュのものをライブラリに追加しているのですが,フランス人であるロジェのもの以上にコチシュの演奏がは気に入っているようです。

オーケストラに関しては,自分も勉強したことがあるしスコアなどを眺めてある程度具体的な良さを語ることもできるのですが,ピアノに関しては自分が弾けるわけではないので,どうしても感覚的な聴き方しかできません。

しかしどちらの楽曲に関してもドビュッシーの特長といえば和声なのでしょう。それまでの和声楽の常識からいえば「やってはいけない」こと満載のはずなのですが,それでも人間の生理として,拒否感を覚えるような進行はしていないというのがすごいところだと思います。

もちろん,人によっては着地点の見えにくい動きが拒否感につながるとは思うのですが,そういう部分も含めて私にはすごく魅力的に感じます。

しかし,あらためてWikipediaのドビュッシーの楽曲一覧 を眺めていたら,未完とか紛失とか意外と多いんですね。他にも計画のみとかもかなり見られます。

私自身は,まだ歌曲や室内楽,オペラをあまり聴いていないので,このあたりにも食指を伸ばしていくタイミングに来ているのかなぁ,とも感じています。「弦楽四重奏曲」は大好きなんですけどね。それ以外はあまり知らないので。

完成した唯一のオペラ「ペレアスとメリザンド」ですが,やはり私にとってオペラは音だけでは厳しいように思います。

そうかといってディスクメディアを購入するほどかというと,「うーん,そこまでは」と感じてしまうところもあるんですよね。


オーケストラやピアノ作品は,結構抜粋しても聴けるものが多いようにも感じるのです。これはドビュッシーに限らず,20世紀以降の作品に多く感じる要素です。楽章や楽曲をまたいだ要素はもちろん組み込んであるのですが,それがないと理解不能というわけでもないのです。切れ目のない作品ですら,そういった要素を感じることがあるので,やはり18世紀から19世紀,20世紀と時代が進むにつれて,音楽の要求されるサイズ感はコンパクトになっているのかもしれませんね。

そんななか,オペラはやはりストーリーがあるので,通して聴きたくなるとも思うのです。でも,私にとってはまだまだハードルが高いようです。何より時間が厳しいですねぇ。

オペラに馴染むには,これよりもモーツァルトとかの方が良いのかもしれません。さて,どこから手をつけるべきかな。楽しい悩みどころです。

それではごきげんよう。

2017年11月10日 (金)

アンコールピースなどいかが?

今日のBGMは英国式金管バンドのプレイリストをずっと流していました。

ユーフォニアムの活躍度が高いので,自分としては楽しいですね。あと,同族系統の楽器だけで構成されているので(例外はトロンボーンのみ),意外にBGMとして聴きやすい部分もあります。

この編成のための,コンテストピースのような「重い」楽曲も好きですが,最近アンコールピース的なものもいろいろ追加しています。

フィリップ・スパークの作品でこの2曲は特にお気に入りです。

どちらも最初に聴いたのは,なにわ《オーケストラル》ウィンズの演奏です。「バンドワゴン」の方は,金沢公演のとき,生で聴くことができました。

「メリーゴーランド」は約3分の小品です。いろいろな楽器のセクションが代わる代わる旋律を担当し,全てのパートに見せ場があります。なにわ《オーケストラル》ウィンズの演奏は,アンコールの指揮者なしの演奏です。かなり速いテンポでしたが,とても楽しい演奏でした。英国式金管バンド版の方は,セッション録音なのでちょっと落ち着いた感じです。もう少し速いテンポが良いのですが,これ以外見つからないんです。

「バンドワゴン」も,短めのコンサートマーチです。こちらも確か指揮者なしでかなり快速な演奏でした。やはり英国式金管バンドのものは,少し落ち着きすぎていて物足りない感じです。

最近はオーケストラでもコンサートのライブを録音し,修正して音源として発売することが多いです。昔のようなじっくり時間をかけたセッション録音は,コスト的にも難しくなってきているのでしょう。

では,上記の英国式金管バンドの録音はなぜセッション録音なのかというと,これらは楽譜出版社のカタログ的な要素があるからです。

さらにいえば,参考演奏的な側面もあるので極端に攻めた解釈を入れることは少ないです。そのため聴くことを考えた場合,必ずしも大満足とはいきません。

ですが,この編成は録音がどうしても少なくなりがちです。YouTubeにはそれなりに映像があるのですが,どうしても環境が悪いのか音がいまいちなものが多いですね。

聴きたい曲があるかは別にしてこちらのサイトのYouTubeチャンネルは登録しておくと,なかなか良い演奏が聴けるように思います。

World Band Festival Luzern

スイスのルツェルンでおこなわれるバンドのための音楽祭のようです。コンテストもあるようで,かなりの数の動画が一気にアップされますね。

同じ曲がずらりと並んでいるのは,おそらく課題曲でしょう。これが課題曲とか恐ろしくなりますが。

しかし,なによりガラ・コンサートブラック・ダイク・バンドの演奏が群を抜いて上手い。

なんだかんだでこのバンドは別格のように感じます。先日来日公演があったそうで,情報は一応つかんでいたのですが,ちょっと東京までは厳しいので諦めました。そもそもチケットが取れたかどうかも怪しいところですが。

シリアスな曲も良いですが,アンコールピースを集めたアルバムとか,本当にBGMとして良いですよ。AppleMusicに登録されている方は聴いてみてはいかがでしょう。

知らない曲ばかりだと思いますが,それでも楽しく聴けると思いますよ。

それではごきげんよう。

2017年10月19日 (木)

吹奏楽燦選~ザノーニ ファースト・インプレッション

先日,iTunesStoreで吹奏楽のアルバムを一つ購入しました。

こちらです。

AppleMusicにはなかったのですが,選曲が非常に魅力的だったため購入に踏み切りました。

全体的に,クリアで音の分離がはっきりした録音と感じました。ホールの響きがあまり含まれていない感じですが,そうかといってオンマイクの音響でもない,なかなかバランスの良い録音に感じます。

指揮者の大井剛史さんは以前購入した「陽炎の樹」という邦人作品集が非常に端正かつ力強い演奏だったので,演奏の解釈も楽しみでした。


期待に違わず,非常に丁寧な演奏です。しかし,力強さは失っていません。かつ,単純なイケイケドンドンな,典型的な吹奏楽のイメージを覆しています。

1曲目はポール・クレストン作曲「ザノーニ」

国内では,カットの入ったコンクールの演奏しかなかったらしく,海外でもプロの演奏はほとんどないそうです。クレストンの作品は「プレリュードとダンス」を音出ししたことがありますが,難易度が非常に高い。初めて聴く曲ですが,落ち着いた中にも迫る雰囲気を持つ良い曲です。思ったよりはテンポの速いところが少なかったのですが,それでも推進力が強いのは楽曲と演奏の力が上手くかみ合ったのでしょう。

2曲目はクリフトン・ウィリアムズ作曲「ザ・シンフォニアンズ」

Symphonic Marchのサブタイトルが冠されていますが,約5分強という演奏時間はマーチとしてみた場合少し長めですね。

ウィリアムズの作品では「ファンファーレとアレグロ」や「交響組曲」がABAオストワルド賞を受賞していて知名度が高いですが,この曲もそれに劣らぬ魅力を持っています。演奏も力押しではなく,しなやかなパワーを感じる好演です。

3曲目はジョン・バーンズ・チャンス作曲「朝鮮民謡の主題による変奏曲」

すでに吹奏楽では古典と言って良い作品ですね。これに関してはすでに音源がたくさんあるため,比較されてしまうのが辛いところです。曲の良さを引き出してはいますが,同時に曲の良さ以上の「何か」を期待してしまう部分はあります。そういう意味では想定内の印象でした。

4曲目はジョン・マッキー作曲「オーロラの目覚め」

ここまでの4曲はアメリカの作品ばかりですがこれだけ年代が21世紀になります。約半世紀の時間の流れは果たして大きな変化を起こしたのか,人によって解釈は異なるでしょう。この作品の世界は,いわゆるクラシック音楽の世界の語法としてはそこまで新しいものではないのかもしれませんが,私はその時間の変化を強く感じた作品です。演奏も適度に力が抜けた素晴らしい演奏だと感じました。かなり気に入っています。

次からは日本人の作品が並びます。すべて吹奏楽コンクールの課題曲ですね。

5曲目は木下牧子作曲「序奏とアレグロ」

1982年の課題曲です。かなりモダンな要素で作られた曲ですが,当時は吹奏楽ではこういったスタイルの曲は少なかったのではないでしょうか。ただ,それなりに経験を持ったためでしょうか,良い曲ですがそのモダンさも「普通」に感じてしまった自分にびっくりしました。

6曲目は後藤洋作曲「カドリーユ」

1983年の課題曲。「小品」といった言葉が似合う,かわいらしい曲です。吹奏楽の曲で「かわいらしい」のは,意外に難しいのではと思います。特にアマチュアにとっては力任せの演奏でごまかしがきかないので,譜面の簡単さで選んで大変な目にあったバンドは多そうですね。非常に「おしゃれ」な演奏です。

7曲目は建部知弘作曲「コンサート・マーチ『テイク・オフ』」

1986年の課題曲です。非常に人気の高い曲の一つですね。

建部さんには龍谷大学時代に指導や客演に来ていただいたことがあります。また,作編曲作品をいくつか演奏したことがあるのですが,実はこの曲の演奏経験がありません。ちょっと残念ですね。

この曲に関しては,実はアマチュアの勢いのある演奏の方が面白いのではないかと感じます。録音の演奏は落ち着きすぎているように感じました。

8曲目は間宮芳生作曲「マーチ『カタロニアの栄光』」

1990年の課題曲です。

この曲に関しては何度か演奏経験があります。非常に難易度の高い曲ですが,それでも挑戦したくなる魅力に満ちた作品です。

今回の演奏は録音のバランスの関係でしょうか,今まであまり意識していなかった音が強く出ており,新たな魅力を見せてもらった感じです。今までの自分の感覚よりもほんの少しテンポが速めで,かつ何ミリグラムか軽い感じです。これが新しい感覚でした。

残り2曲はヨーロッパの作品です。

9曲目はガブリエル・パレス作曲「序曲リシルド」

作曲者はギャルド・レピュブリケーヌ軍楽隊の隊長だったそうで,この録音の中でもっとも古典的な響きがします。フランス独自のサクソルンを多用したオーケストレーションだったそうで,上記の建部知弘さんの手による現代編成のリーバイス版の録音です。

古典的なスタイルの曲のためでしょうか,演奏になにかが香り立つような印象を受けました。ヨーロッパの香りを感じるおしゃれさです。

10曲目はイダ・ゴトコフスキー作曲「炎の詩」

ゴトコフスキーはフランスの女性作曲家です。一般的に女性の作曲家というと「繊細な」とか「女性的な」とか,枕詞をつけたくなりますが,この作品はそういったものを覆すような力強い作品です。

以前紹介したリリ・ブーランジェの名を冠した賞を受賞しているそうで,その影響は大きいようです。私はリリ・ブーランジェの作品に生きたいという力を感じたのですが,それに倣うかのように非常に力強い作品が多いです。

以前持っていた録音は少し響きが多すぎる感じだったのですが,この演奏はシャープで広がりすぎない解像度の高い演奏ですね。

ざざっとファースト・インプレッションを書き連ねてきましたが,短く書くだけでも結構な量になるものですね。

いくつかの曲についてはこちらのブログが非常に詳しい内容を書いておられます。

橋本音源堂

下手に私が書くよりも詳細な内容があります。

なかなかここまで書くだけの気力はありませんねぇ。すごい情熱です。ですがありがたいことです。

古典から新しいものまで吹奏楽の魅力が詰まった録音です。昨今の流行りではありませんが,こういった曲こそ学生さんには聴いてほしいものです。

それではごきげんよう。

2017年10月10日 (火)

スーザつれづれ

なぜか知りませんが,今日の帰り道で突然頭の中にジョン・フィリップ・スーザの「美中の美」が流れてきました。

演奏したことは確か一度だけのはずなのですが,スーザのマーチの中では妙に気に入っている作品です。

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特にトリオのメロディーが秀逸だと思っています。

若い頃だとテンポの速いものが好きでしたが,今では落ち着いたテンポのものも楽しめますね。演奏する状況によってテンポ設定は変わってくると思います。「こうあるべき」という形は自分の中にありますが,多様な解釈が楽しめるのが音楽の醍醐味の一つですからね。

実際行進曲だから,歩くために作曲されたと思われがちですが,スーザ・バンドは60人から80人の大所帯だった上に,その演奏はコンサートの形が多かったようです。そう考えると「行進」曲の形にこだわりすぎると,かえってスーザのスタイルからは離れてしまうというおかしなことが起こってしまうかもしれませんね。

スーザと言えばもっとも有名なのは「星条旗よ永遠なれ」ですが,ユーフォニアムの譜面は意外と難しいんですよこれ。

ユーフォニアムという楽器は,吹奏楽編成ではわりと便利屋的な扱いをされることが多いのですが,この曲でもそんな使い方がされているような気がします。

特にトリオのメロディーでDes-C-B-Gと動くところがあるのですが,普通であればB-Gと下に下がっていくメロディーがなぜかGが上の方に跳躍するのです。ここの演奏になれるまで苦労した記憶がありますね。

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同じくトリオの一番の決め所では,非常に高い音が要求されています。

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アンコールなどでよく演奏されるので気楽に演奏できる曲だと思われそうですが,しっかりと演奏するためには,思ったよりも技術の必要な曲なんですね。

有名なトリオのピッコロの旋律とか,かなり大変です。

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そういえば,お遊びでこれをテューバ奏者が演奏することがよくありますね。ピッコロの真逆の音域だからこそ笑えるお遊びですが,演奏者は真剣だったりします。

ちなみにスコアの編成表を見ると今はあまり使われない楽器がちらほらと見えます。Imslp176438pmlp03235stars_and_str_2
D♭のピッコロとか,E♭のホルンとかですね。このあたり時代を感じます。

特にE♭管のホルンはアルトと書いてありますが,ベルが上向きの楽器でしょう。今では英国式金管バンドでテナーホーンとして使われているくらいで,目にする機会が非常に減ってしまった楽器ですね。おそらくですがF管のフレンチホルンはベルが後ろ向きなため,音の指向性が統一しにくいこともあったのではないでしょうか。

また,フレンチホルンは特に管の長さとマウスピースの小ささから,非常にコントロールの難しい楽器の一つです。アルトの方がコントロールはしやすいのでそれも影響していたかもしれませんね。

他にも,メインがトランペットではなくコルネットが主体のようなので,そのあたりサクソルン系の楽器で音色の統一を計っていたのかもしれませんね。

スーザバンドはクラリネットが多数使われていたそうですから,そこに鋭いトランペットの音は避けたかったのかもしれません。

ちなみにスーザのバンドでは口伝のような形で多数の楽譜にない演奏スタイルがあったそうで,いくつかはバンドメンバーの証言から出版譜に還元されているようですが,どのくらいのものが失われたのか気になるところです。

それでは最後にもう一曲紹介を。「キング・コットン」です。

この曲も何度か演奏経験がありますが,やっぱり要求は聴いた印象より厳しいものがあります。それだけ,スーザ・バンドには手練れのプレイヤーが集まっていたと言うことでしょう。

ただ,ユーフォニアムにとってはなんだかんだ言ってかなり楽しい譜面でもあります。吹奏楽部の生徒さんは,ぜひ「きちんとした」演奏を聴いて,「きちんとした」演奏に挑戦してほしいものです。

それではごきげんよう。

2017年10月 5日 (木)

本歌取り的な作品

私が好きな作曲家の一人にモーリス・ラヴェルがいます。最近追加した英国式金管バンドのアルバムに,このラヴェルの作品を元にして作られた曲がありました。

「ラ・ヴァルス」の様々なフレーズを織り込みながら最後は「ラ・ヴァルス」の原型になって幕を閉じるという曲です。

非常にテクニカルで,コーリー・バンドの2016年ヨーロッパ・ブラスバンド・チャンピオンシップの自由曲として委嘱されたというだけあります。

ただ,この曲ですが最初は吹奏楽編成の曲として関西学院大学の創部60周年記念として委嘱されたものを,英国式金管バンド編成に新たに書き換えたもののようです。

私はラヴェルの作品でも,この「ラ・ヴァルス」と「スペイン狂詩曲」がお気に入りなのですが,本来「管弦楽の魔術師」とも言われるラヴェルの作品を上手く分解し,自分の作品の中に落とし込んでいるのが,素晴らしいですね。

以前紹介した「Extream Make-over」もそうなのですが,下手に元の形に近づけようとするよりも,一度自分の語法の中に取り込んでから原型を使っているので,かえって違和感が減退しているような気もします。

ちなみにスパークは他にも似たような形で作曲した曲があります。

これもカミーユ・サン=サーンスの「交響曲第3番『オルガン付き』」の最終楽章のオルガンのコラールを元にしています。

当初は吹奏楽編成として書かれたというのも共通点ですね。

ただこれはかなり期間が空いたためでしょうか,英国式金管バンド編成にする際に曲の構成がややコンパクトになっています。

調べたところ吹奏楽版を作曲する際,委嘱を受けたものの,要望が少なく,かなり自由にやって欲しいといわれた結果,長年暖めていたアイディアを形にしたらしいのですが,その際にちょっと気合いを入れすぎたんじゃないかなと思いますね。

吹奏楽版も聞いていて非常に面白いのですが,英国式金管バンド版の方がコンパクトになった分,聴きやすいかもしれません。もちろん吹奏楽版に比べて音色のパレットが減ることも大きな要因だと思いますが。

こういった本歌取り的な要素を持った曲というのは,ある意味で聴衆の地雷を踏みかねない要素も含んでいます。少しでも元の形を変えるのは嫌だという人も中にはいるでしょうから。私自身も昔はそういった感覚がありましたが,これに関してはだんだん許容範囲が広がってきているようです。

うまくいけば元の曲のファンがその編成に興味を持ってくれますし,逆に吹奏楽でしか聞かないような人が元の曲にたどり着く良いきっかけになると思います。もちろん逆の結果もあり得るのが,難しくも面白いところです。

おまけとしてですが「ラ・ヴァルス」はフランス語表記だと

La Valse

となります。

これを英語表記にしたら

The Waltz

となりますが,なんだか風情もへったくれもなくなるような気がするのは私だけでしょうか。

音楽の場合,作曲者の母国語で表記するというのは,結構雰囲気として重要な気がしますねぇ。もっともロシア語のように,書いたらわけがわからない文字列になってしまうのも大変ですが。

グーグル翻訳を駆使して変換してみました。

Der Walzer(ドイツ語)
Il Valzer(イタリア語)
El Vals(スペイン語)
вальс(ロシア語)

英語,ドイツ語,イタリア語,フランス語,スペイン語は元を正せばラテン語と現地の言葉の融合したものが,さらに影響し合って変化したものですから,基本構造が似てくるのは当然ですが,文字面だけでなにやらお国柄を感じてしまいますね。ロシアは一応アルファベットがもとになっているようですが,形が違いすぎて共通点が見つけにくいですねぇ。

音も結構違うような気がします。ちょっと調べた感じでカタカナ化してみるとするなら

デア・ヴァルツァー
イル・ヴァルツェル
エル・バルス
ヴァーリス

となります。こちらの方がロシア語は共通要素が感じやすいですね。でもザ・ワルツの風情のなさはカタカナでも同じように感じるのはなぜでしょう。

個人的印象ですが,日本人はなんだかドイツ語の四角い感じの発音をかっこいいと思う傾向があるような気がします。子音をきっちり発音するが故のイメージだと思うのですが,カタカナでは伝わりにくい発音のイメージも面白いですよねぇ。

音楽をやっていると表記や発音はどうしてもついて回ります。専門に勉強したわけでもないのに,いくつかのヨーロッパ言語になじめるのが,音楽を学ぶ際の面白さの一つですね。

たまには日本語表記以外もいかがでしょう。

それではごきげんよう。

2017年9月30日 (土)

名前を使った主題からつれづれ

iOSのミュージックアプリには,connectというSNS的な機能があります。ちょっと見てたらさる9月25日はドミトリ・ショスタコーヴィチの111回目の生誕記念だそうです。

ショスタコーヴィチと言えば,最も有名なのは「交響曲 第5番」でしょう。

この他にも知名度が高いもので,人気のあるのは「交響曲 第10番」でしょうか。

他には「弦楽四重奏曲 第8番」も知名度が高いですね。

この曲は指揮者ルドルフ・バルシャイによる編曲で「室内交響曲」としても知られています。

さて,「交響曲 第10番」と「弦楽四重奏曲 第8番」ですが,DSCH音型という共通項があります。

本人の名前Dmitrii Shostakovich からD(レ)-S[Es](ミ♭)-C(ド)-H(シ)を抜き出して作成した音列を主要な動機として作曲されています。

自らの名前を使って作曲するとか,自己顕示欲が強いなぁと一瞬思いましたが,よく考えたらそういう性格でもなきゃ作曲家なんてやってられないかもしれませんね。

またこれがものすごく要所要所でガツンと頭に残るような使い方がされるんです。

「交響曲 第10番」ではいろんなところに出てきますが,終楽章の最大のクライマックス部分で高らかに鳴り響くところは,とても印象に残ります。

「弦楽四重奏曲 第8番」でも,終楽章とかえらいしつこく繰り返されるところがあったりして異様に頭に残ります。

こういった名前をもとにしたモチーフというのはショスタコーヴィチだけかと思いきや,結構いろいろな作曲家が使っているんですね。

特に有名なのがBACH主題でしょうか。

B(シ♭)-A(ラ)-C(ド)-H(シ)で構成された主題で,ヨハン・セバスティアン・バッハ自身も使っていましたが,後世の作曲家がバッハへのリスペクトとして使うことがあったようです。

私個人はこの主題を使った作品に初めて触れたのはなんと吹奏楽曲でした。

ロン・ネルソン作曲「パッサカリア(B-A-C-Hによるオマージュ)」という曲です。

初めて聴いたときはなんだかよくわからない曲だったのですが,今では1,2を争うくらい好きな曲の一つですね。

最初はBACH主題のほうが耳に残り,本来のパッサカリアの主題が見えにくかったためでしょうか,構造が感じ取れず面白みがなかったのですが,パッサカリアの主題の方が見えてくると俄然その面白みが増してハマったものです。

特に上記の作曲者自身による演奏は,アメリカのバンドらしい外連味と作曲者の持つ繊細さが上手く組み合わさった,良い演奏です。

しかし,DSCH音型もBACH主題も半音で移行する部分が多いためでしょうか,これを用いた曲は調性がやや薄くなる傾向があるような気がします。また二つ目と三つ目の音の音程が短三度であるためでしょうか。短調で構成されることが多い印象です。

自己顕示欲的なものかと,上で書きましたが,実際そういった名誉欲的なものはどこまで作曲者たちのなかにあったのか。それはわかりません。ですが,なにか自分の証を残したいと思ったものの表れなのかもしれませんね。

私自身そういったものがあったからこそ音楽を学んだのかもしれません。今では,日常的に音楽を発信する側ではなくなりましたが,そこで得た何かはやはり自分の中の重要な「何か」を構成しているようにも思います。

「自分を出す」というのは,程度を間違えると人からの忌避感を生むような気がします。そうかと言っておとなしくじっとしていればそれで良いかというと,なかなかそうもいかないものではないでしょうか。

私の場合,見る人が少なくてもこうやって書いているのは,自分の中にある「何か」をどうにか「出したい」と思っているからなのでしょうね。ですから,なかなか上手くならなくても続けることができているのかもしれません。

たとえ他の人にとって「面白くない」としても,できるかぎり書き続けたいものです。

それではごきげんよう。

2017年9月28日 (木)

アパラチアの春

さて,先日引っ張り出したスコアの一つに,アーロン・コープランド作曲「バレエ音楽『アパラチアの春』」があります。

そもそもこの曲自体大好きなのですが,実は学生時代できたらやってみたいなと思っていたことがあったのです。

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ご覧ください。なぜか同じ曲のスコアが2種類あります。

左のものが,二管編成のいわゆる「組曲版」のスコアになります。

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わりとよく見るオーケストラの編成ですね。大多数の人はこの組曲版に親しんでいるはずです。

では右のものは何かというと,楽曲の同じ部分を開くとこうなっています。

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おや,なんだか段が少ないですね。

これはもともとこの曲が最初に作曲された13人編成のスコアだからです。

ただ,ここで少しややこしいところがあります。

もともとのバレエ音楽はもう少し長い部分がありました。それをオーケストラに拡大する際に,一部をカットして約十分くらい短くしているのです。このスコアはそのカットしたものを,13人編成に戻した形になります。

この13人編成版を,ユーフォニアムとテューバのアンサンブルに編曲して演奏できないかな,と考えていたのです。

こう言ったアイディアのうち,一つは実現することができました。

オットリーノ・レスピーギ作曲「リュートのための古代舞曲とアリア 第三番」です。


他にもガブリエル・フォーレ作曲「組曲『ドリー』」なんかもやってみたかったですね。

結局できませんでしたが,これらの楽曲に興味を持ったことも,比較的小さな編成を楽しめるようになったきっかけでしょうね。

「アパラチアの春」に関しては,大編成版も13人編成版も,どちらも聴いていて楽しくてしょうがないです。

ぱっと聴いたときは親しみやすい旋律にあふれており,リズミックな部分と静寂な部分のバランスのとれた,わかりやすい曲だと感じると思います。ところが,いざスコアに向き合うと混合拍子でくるくると拍子が変わる部分があったり,小節をまたいだフレーズが存在したり,かなり厳しい要求が突きつけられます。

こういったところも,挑戦してみたいと思わせる要素だったのでしょう。

最初の作曲者の自作自演も良いですが,あえて原典のカットしたところもそのまま,編成もそのままな演奏であるマイケル・ティルソン・トーマス指揮サンフランシスコ交響楽団のものを好んで聴いています。

二管編成の組曲版もそこまで派手ではないので,もしかしたら地味に感じる人もいるかもしれません。でも最後のシンプルギフトの旋律が高らかに鳴り響く場所はとても雄大な空間を感じさせてくれます。良いですよ。

最後に,検索して見つけた組曲版サイズの13人編成版の演奏を貼っておきます。

こうして見ると,人数が少なくても迫力を感じる部分も十分にあるでしょう。とても良い曲です。お勧めですよ。

それではごきげんよう。

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